デジタル情報のコード化とデザインは両立するか

撮影用に買ってみた


自分の名刺を、自分でデザインしてインクジェットプリンタで印刷するようになって数年。現在の名刺は名前の部分にちょっと凝った形のフォントを使っていて気に入ってるのだけれど、ひとつ問題がある。名刺をスキャナで読み取ってアドレス帳に登録するOCRで、このフォントを認識できないのだ。

どうしよう。やはりフォントを変えるか。いや、小さく普通のフォントでもう一カ所名前を入れておくのはどうか。などと考えていたのだが、はたと思い当たった。

QRコード

いわゆる、二次元バーコードってやつで、白と黒のマス目状になっているアレ。「ケータイで読み取れば、ケータイ用ページに行けます」みたいな使い方をされることが多いので、見たことのある人も多いと思う。名前や電話番号等をまとめてQRコードにして名刺に印刷しておけば、フォントは変えなくていい、と思った。検索すると、無料で使えるQRコード作成ソフト(たとえばコレ)も見つかった。

で、作ってみたのだけれど。失敗。

QRコードは情報量が多いと「マス目」の数が大きくなる。名刺上の情報を全部入れたら、恐ろしく細かいコードになってしまった。読み取りエラーが起きては意味がないから、確実なサイズで印刷すると、名刺の表面にかなりの面積を必要とする。これでは見た目がよろしくない。

今使っている名刺印刷用のシートはミシン目がないかわりに両面印刷ができない。よって、QRコードを裏に印刷するのはお預けである。データだけ作って印刷は業者に任せようかと考えていた矢先。両面印刷はコストもかかる。もうちょっといろいろ検討することにした。当面、私の名刺はOCR非対応のままってことだ。

こういう「コード化された情報」は、いかに情報を詰め込み、正しく伝えるかを重視しているが、「見た目」は考えて作られていない。レジ会計用にバーコードが普及したときには、「こんなもの(バーコード)を入れてデザインができるか!」と怒ったデザイナーは多かったと聞く。特に、書籍の装丁では抵抗が大きかったようだ。

ところが、このバーコードにデザインを持ち込む人がいたのだ。

ユニリーバから発売されている男性向けフレグランススプレー「AXE(アックス)」。日本市場にこの春投入されて以来人気商品で品薄だったが、最近量産体制が整ったらしく、コンビニでも普通に見かけるようになった。このAXE、「香りで女性を惹きつける」という露骨な広告手法ばかりが話題になるが、よく見たら、バーコードが洒落てる(写真)。

気になって調べてみたら、こういう洒落たバーコードはすでにいくつか使われているようだ。こんなサイトが見つかった。ふーん、男前豆腐店の「風に吹かれて豆腐屋ジョニー*1のバーコードはサーフィンなのか。
そういえば、最近「カラーコード」ってのもある。QRコードに色がついたような感じで、色の違いによって1マスで多値を表現できるので少ないマス数に多くの情報が入るほか、QRコードよりキレイ、というメリットがある(そのかわり、色を正しく印刷、もしくは正しく読み取りできないと情報を読み出せない)。

QRコードのように多くのケータイに読み取りソフトが入っている規格と違って専用ソフトを落とさないといけなかったりするんでまだ普及の兆しは見えないけれど、見た目重視の人にはそれなりに受け入れられる可能性はありそうだ。

こういう規格は、作る段階で、いわゆる「デザイナー」の協力を仰ぐべきだと思うんだけど、難しいのかな。

*1:そういう名前の豆腐