キーボードのサイズ

パソコンのキーボードは通常、「キーピッチ19ミリ」が標準とされている。キーピッチは「キーの幅」と説明されることが多いけれど、本当はキーの中心から、隣のキーの中心への距離を指す。だから極端な話、幅5ミリだけどキーピッチは19ミリというのもアリ。この場合、キーとキーとの間が14ミリ開くわけだ。AppleMacBookや、ソニーVAIO type T(10周年記念モデル)のキーボードがこのタイプ。(もちろん、キーの幅は上の例ほど狭くない)
それはさておき。私個人は、キーピッチはもっと狭い方がいい。15〜17ミリくらいがベストだろうか。超小型のモバイルパソコンを好んで利用し、今は亡きアサヒパソコン誌でも大量にレビューしてきたため、小さいキーに慣れちゃったというのが大きな理由、なのだろう。キーを見ずに文字を打つタッチタイピングは、キーピッチ13ミリならほぼ確実。9ミリまで小さくなるとつらい。
ちなみに、あまり正確ではなさそうなメジャーで今測ったら、中指の長さがだいたい8センチ、開いた親指の先から小指の先までは約21センチ。幅は17ミリくらいか。どちらかといえば、長いけれど太くはない指だと思う。
キーピッチが狭いマシンを使い続けて、時々標準幅のキーボードを使うと戸惑うことがある。それは、「エンターキー(改行キーとしてもおなじみ)までが遠すぎる」ということ。右手の横移動が大きすぎるのである。キーボードを見れば分かるけれど、ホームポジションに指を置いた際、左手の小指の外にはCapsLockキーなど特殊なキーしかない。でも、右手の小指の外にはさらに2列の文字キーがあって、エンターキーはその外3列目なのだ(いずれも通常配列の場合)。改行しようとして隣のカギカッコを打ってしまうようなミスはしないが、右手の移動の大きさは「無駄」な気がする。
ついでに言えば、19ミリピッチのキーボードだと、たいていの場合、上下のキーピッチもほぼ同じ。小さいキーボードと比べると、上下の動きも大きい。数字キー(右側のテンキーじゃなくてアルファベットの上)が遠い!
タッチタイピングができずキーを見ながら打つ人なら、指や手のサイズにかかわらず、キーピッチの広い方が確実に打てて良さそうだけれど、手の小さい人、指の短い人は、キーピッチが狭い方が打ちやすいということも多いのではないだろうか。
デスクトップパソコンにUSBで接続するキーボードなら、洋服のように「L」「S」といったサイズが選べてもよさそうなものだが、メーカー製パソコンでキーボードのサイズが選べるという話はついぞ聞かない。周辺機器メーカーがいくつか「ミニキーボード」や「コンパクトキーボード」を出しているけれど、通常サイズのものと比べると製品バリエーションがまったく少ない。それなのに、キーボード全体のサイズに主眼が置かれ特殊なキー配列になっている商品や、打ち心地(キーを打った感触)が悪くてサイズはともかく選べない商品が多いから、ホントに選択肢は少ない。
まあ、多くの人はわざわざキーボードを買い換えようなんて考えないだろうし、使い慣れたものを「良い」と感じるのが自然。結果として「19ミリが一番」となるのは当然なんだよね。
ちょっと大きな量販店なら、周辺機器のコーナーでキーボードが試し打ちできることもある。コンパクトな奴があったら、ちょっと試してみていただきたい。結構「いける」かも知れませんぜ。