迷子のmylo

ソニーの"パーソナルコミュニケーター"「mylo(マイロ)」を持っている。友人からのいただき物だ。
WebブラウザOperaベース)、チャット(GoogleTalk)、ボイスチャットSkype)、音楽/ビデオのプレーヤー、スライドショーなどの機能を持っている。インターネットとの接続には802.11b無線LANを使用。スライド式のキーボードで、タイピングもできる。
しばらくの間、枕元に転がしておいて、寝ながらGmailやらウェブサイトやらのチェックをしたり、ダウンロードしたムービー(おもに予告映像とか)を眺めるのに使ってみたりしていた。
外出時に持ち歩こうと思ったことはない。無線LANのあるところでネットにつなぐならモバイルPCの方が使い勝手がいい。ましてや今のメインマシンはコンパクトなLIFEBOOK Uだ。音楽再生はiPodで十分。移動しながらWebをチェックするならケータイ(今はAdvanced/W-ZERO3[es]アドエス)がある。外出先でSkypeを使うことはない。
アドエスには802.11g無線LANが内蔵されているので、無線LANが使える場所ならそっちを使える。無線LANの通信速度で「自宅の枕元でのメールとWebのチェック」もアドエスでできるのだ。
画面の解像度はmyloQVGAに対してアドエスWVGA。表示できる情報量(というか、文字量)は比較にならない。
ムービーのチェックはmyloを試すためになかばムリヤリやっていたこと。できなくても別に困らない。アドエスにもメディアプレーヤーが搭載されているから同じ事はできるし、そもそも、ソニー製品で映像や音楽を楽しみたいなら、WalkmanのAシリーズやPSPという選択の方が満足度が高そうだ。
携帯端末の場合、映像ファイルのコンバートが面倒というのもある。DLNA対応にして、PCなりホームサーバーなりに蓄積した映像をストリームで見られるようにしてくれた方が嬉しかった。(まあ、携帯端末的な使い方ではないけれども)

結局、myloの発表段階で感じた「欧米で発売した端末を日本語に翻訳して出しただけ」感は、今のところまったく払拭されていない。
「なぜmyloを選ぶのか」という根本的な部分で、説得力のある提案ができていないのだ。
専用のサービスが必要だと言いたいわけではない。今時、単独の製品からしか使えないサービスにほとんど価値はない。「ほかの機器でも使える機能やサービスをあえてmyloで使う理由」という意味だ。残念だが「ソニー製品でかわいいデザイン」ぐらいしか思いつかない。
それでいて1台4万弱という価格は辛い。アドエスなら新規で3万5000円ほどだ(別途毎月の使用料はかかるが)。ソニースタイルを見ると一台の価格で2台買えるセット構成が存在する。ものの売り方としては末期的だ。
myloという名前はMY Life Onlineからつけたらしいけれど、無線LANという局所的にパートタイムでしか利用できないネット環境のみに依存する携帯機器で、ネットライフも何もあったものではない、というのが個人的な意見。GoogleGear的な機能のあるBalancedClient*1な作りでもないし。
myloウィルコムW-SIMがささってパケット通信ができたら面白かったような気もするが、ベースが欧米市場向けの商品だから、ウィルコムオンリーのW-SIM対応など望むべくもないわけで。
高機能ケータイが強い日本市場において、myloは実質的に「パートタイムでネットも使えるAVプレーヤー」になってしまう。平均的なケータイの機能が低めの欧米と同じようにネット接続時の機能を前提とした「コミュニケーション端末」として売り込んだのは失敗だったのではないだろうか。AVプレーヤー扱いするとWalkmanPSPとの間で競合が発生するとか、いろいろ事情はあると思うが。

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でも、「通話中以外は携帯AVプレーヤーとしても使えるSkyep端末」と考えれば、それなりに市場性もあるのかなあ。

*1:私による造語。説明はこちらのエントリ