質問力

 インターネットを利用して何らかの答えを得るためのスキルを「質問力」と呼んでみる。
 検索がらみの話題を書くとき、「良き答えは良き問いから」ということを書くようにしている。わざわざ言い換えると「いい質問をすれば、いい答えが返ってくる」ってことだ。
 これ、相手が人間の場合と機械の場合とで、ちょっと意味が異なってくる。
 相手が人間の場合、「質問が良ければそれだけ中身の濃い答えが返ってくる」というようなニュアンスなんだけれど、相手が機械の場合、「質問のしかたが良ければ、回答のノイズ*1が少ないよ」って感じになる。ウェブ検索で言うなら、キーワード選択が的確であるほど、より具体的な回答を示すページが見付かりやすくなるということ。良き問い=的確なキーワード、ということになる。
 最近、掲示板のシステムなどを使ってユーザーの質問に別のユーザーが答える形式のサービスがいろいろ出ている。企業が、自社製品やサービスのユーザーサポートの一環としてそういう場を用意していることもある。ここでもまた、別の「質問力」が必要になっている。
 こういうサービスをグーグルもやってて(たとえばココ)、実は私自身もGmailの使い方に関するトラブルシューティングなどには匿名で答えたりしているのだが、「聞き方がイマイチ」な人が結構多い。

  • オンラインヘルプに書いてあるのに、それを調べず質問する(ヘルプの内容が分からない、というなら別)
  • 複数の掲示板に同じ質問を投稿する「マルチポスト
  • 使用環境や操作内容を書かずに「思ったように動かない」ことだけを訴える
  • 相手もユーザーであるということを考えず(知らず?)に「回答があって当たり前」と思っている
  • 質問内容に直結するタイトルをつけない
  • やたらと長い挨拶
  • 複数の質問の併記(別の投稿にすべき)
  • 回答に対するお礼を投稿するのはいいが、そのまま「ところで別の質問が〜」と続けてしまう(別の投稿にすべき)

 などなど。
 誰もがこういうシステムを利用慣れしていないこと、「聞き方」のガイドラインがいまいち明確でないこと、そもそも質問慣れしていないことなどが原因なんだろう。
 それと、こういうシステムは、質問する人にとっては「一回のコミュニケーション」なのだけれど、それが蓄積されて「後から他者に参照されるもの」になるという意識が希薄なのも問題だろうか。そういえば、同じような質問が何度も別の人から出てくることもあって、そんなときには「ああ、自分で調べるってことをしていないんだなあ」&「みんなここで引っかかるのか。引っかからない改善法はないのかなあ」という想いが交錯したりする。
 これとは別に、知識が乏しいために、引っかかっているのがOSなのか、メールソフトなのか、ブラウザなのか、グーグルのサービスそのものなのか、といったあたりを切り分けることができない人も多いが、これは仕方のないことだ。
 まあ、この手のサービスの場合、答える側の「回答力」にも課題は多い(説明が中途半端とか、誤解に基づく間違った回答とか、文体や用語の使い方とか)ので、互いにもうちょっと時間が必要なのかも知れない。

*1:雑音=ここでは回答としては役に立たない情報、程度の意味。