バージョン0.9の甘え

インターネット経由で更新ができるソフトや機械(ファームウエアを更新する)が増えている。ソフトの不具合の修正ができるだけでなく、場合によっては機能が追加されることなどもあり、基本的には「ありがたい」ことだ。
ただ、ネット更新機能の存在を前提に、ときどきソフト/ファームウエアが「バージョン0.9」の状態である製品を出荷するメーカーがある。これはよろしくない。
もちろん、メーカー自体は「1.0(正規版)」だと言って出荷しているのだが、表示されるバージョンナンバーに意味はない。

  • ソフトの存在意義に関わる決定的な不具合がある。たとえば、機器に付属するPCと連携するソフトなのに、機器と連携できないなど。
  • 上と逆のケースで、ファームウエアの欠陥でPCに接続しても連携しない。連携しないと意味がない機器では機器の存在意義に関わる。
  • 発表段階では「コレが特徴です」と言っていた機能が搭載されていない。ネット連携サービスがアナウンスされていたのにサービスが始まっていないなども含まれる。

こんな、購入者にとって幻滅要因がある状態は、「実質的=ユーザー心理的に0.9」なのだ。具体例は特に記さないが、心当たりのある人もいるだろう。
たいていの場合、上のような問題点があっても、製品出荷後のバージョンアップで修正されるか、発言が修正されなかったことになる(3番目の場合)かして片が付く。
でも、今時「発売直後に飛びつく人」は「好きな人」であり、0.9であることに気づく人であり、好きである分大きく落胆する人であり、たいていの場合大声で語る人だ。製品、ブランド、メーカーのイメージを損ないたくなければ、製品は「ユーザーにとっても1.0」の状態で発売するべきだろう。
ネット更新機能は、「0.9」を「1.0」にするためにではなく、「1.0」を「1.1」や「2.0」にするために使って欲しい。

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だいたい、発売当日に大規模アップデートを公開して1.0はないだろう、と思う。もちろん、気がついたミスは即座に修正すべきなんだが。
この点、アップルがかなり前からiPodiTunesのCD-ROMを添付するのをやめているのはクレバーだったと思っている。CD-ROMからソフトをインストールして最初にやるのがバージョンアップという名の丸ごと入れ替え作業なら、最初から最新版をダウンロードしてインストールする方がいい。ついでにCD-ROMのコストを削減できるし、パッケージもコンパクトになる。
iPod touchのWindowsPC接続問題では、これ以上ない「0.9」を体験させてもらったけどね)