5000円の地デジチューナー

総務相の諮問機関、情報通信審議会が家電業界に対して、2011年の完全地デジ移行に間に合うよう、5000円以下で買える簡易版の地デジチューナーを2年以内に開発するよう要望している。
メーカー側は

  • そこまで安くできる目処が立たない(立てたくない)
  • 安いチューナーを待って、現行チューナーの買い控えが起きると困る

などの理由から、消極的らしい。さもありなん。

ワンセグチューナーにすりゃいいのだ。
パソコン用のUSB接続型チューナーが、安いものだと今すでに6000円近傍(下の製品とか)。映像のデコードなどパソコンがやってる機能を自前でできる能力は必要になるが、テレビ接続用のものでも2009年に5000円を十分狙えると思う。地デジ対応の高画質テレビはもちろんのこと、通常の地デジチューナーよりも「画質は落ちますよ」と明言できるわけで、そっちの買い控えもおきにくかろう。まあ、15型やら20型やらの画面で見るにはベースの解像度が粗いし、スポーツやアクションものなどで動きの激しいシーンはワンセグで見るのがつらいのは事実なんだが、とりあえず、見れる。(ら抜き表現は気にしない方向で)

BUFFALO 「ちょいテレ」データ放送対応 モバイル DH-ONE/U2M

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業界的には、ワンセグは携帯機器向けの放送。移動中にあわせた短時間に視聴可能な番組とか、ネットにつながるケータイ電話と連動させて通販番組を見ながらそのまま注文できるといった「ワンセグ専用番組」の方向を考えてはいるものの、家庭のテレビでワンセグを見るという発想はあまりされていないっぽい。
しかし、個人的な意見だが、ワンセグは「時間や場所の都合でテレビのあるリビングで見れない番組を、移動中にorテレビのない部屋で、見る」メディアだ。そしておそらく、「安く地デジを見る」メディアとしても認知されうる。ノートパソコンや電子辞書などに内蔵されているものは、すでにこうした発想から生まれているようにも思える。
この考えからすれば、ワンセグ専用番組のために通常番組が視聴できないのはナンセンスだ。専用番組は独立したチャンネルでやってほしい。もっとも、上のような短時間番組や通販番組は、別にケータイではなく普通のテレビでやってもいいわけで(きっとニーズもある)、専用チャンネルの意義も疑わしいけれど。ネット接続機能付きの液晶テレビはたくさん出ているし。
移動体向けに交通情報などを流すとしても、見る側はケータイのブラウザーでネットにつないだ方が早いと考えるだろう。ワンセグではなくフルサイズの地デジチューナーを内蔵したカーナビもある。高価格帯のカーナビはきっとそっちに行く。「移動体向けのデータ放送」をそれで見たいというニーズだってあるかも知れない。
今回の話の趣旨からは離れるけれどついでに書いておく。「テレビの世界にインターネット(的な機能)を取り込む」発想はたぶんうまくいかない。「テレビの世界をインターネットの一部にする」発想が求められると思う。(ネット配信とかIP放送にしろって話じゃなくて)